初めまして、福岡県糸島市で漁師を営む徳栄丸です。
二双吾智網という漁に従事して現在三代目です。
20年程前から魚を育てる為の休漁期間に真牡蠣の養殖を始めました。手探りで始めた養殖でしたが糸島の森のめぐみのおかげで立派な牡蠣が育つ漁場という事が分かりました。牡蠣は海産物ですが、美味しく、大きく育つには森の資源がとても重要です。糸島には脊振山系に属する雷山や糸島富士と呼ばれる可也山など多くの山があります。
森の枯れ木は豊富な栄養素を含み雨や地下水に溶け込こみ川へと流れ海に出ます。その植物性プランクトンを昼夜食べ続ける牡蠣は大きく美味しく育つのです。そこで私達、岐志エリアの漁師は牡蠣に「森のめぐみ」と名前を付けました。
糸島の牡蠣は1月に稚貝をホタテに付着させ育てる垂下式です。真牡蠣を稚貝から養殖し販売するまでには、1〜2年かかる地域が多い中、糸島では1年足らずで出荷できるサイズに成長します。その事から糸島の漁場のよさがお分かり頂けるかと思います。海から水揚げされた牡蠣は、まず大小に選別されます、徳栄丸の規格に満たないサイズは海に戻され大きくなるまで待ちます。選別後、一回目の洗浄機にかけ殻に付いた海藻や汚れを落とします。
その後一つ一つ手作業で牡蠣を研磨しフジツボ等を取り除きます。この作業を丁寧にする事で汚れが残らず生臭さがない、キレイな牡蠣に仕上がります、しかし研磨をしすぎると身が飛び出てしまうので迅速かつ丁寧な熟練の技術が必要です。一日に一人で180キロ研磨する事もあります。その後二回目の洗浄機にかけ紫外線殺菌処理海水で浄化処理をしたのちお客様のもとへ届きます。
徳栄丸の作業では女性スタッフも活躍しており厳しい目でお客様へ届くまで牡蠣を見届けています。
なお「森のめぐみ」は定期的に菌検査をしておりますので、ご安心下さい。
番組:NHKロクいち
牡蠣は本来潮間帯(満潮時は海水に浸され干潮時は、空気にさらされる場所)にすんでいます。干潮時の乾燥から耐える為に体に水分を蓄えておくことができるのです。その事から宅急便で運ばれて海水が無い状態でも、お召し上がり上がり直前まで水分を保ちますので、ふっくらとした牡蠣を召し上がる事ができます。
11月頃から出荷する牡蠣は小ぶりではありますが、塩味と甘みのバランスがよくパクパクと食べ過ぎてしまいそうになります。チーズや、オリーブオイルなどにもよく合います。1月頃から出荷する牡蠣は段々と大きくなってきます、産卵に控えて味が濃厚になってきます。もみじおろしや、ネギポン酢などにもよく合います。その時々の味を、お楽しみください。
2019年6月「糸島カキ」は地域団体商標登録を取得しました。
その名に恥じないように、徳栄丸は生産から発送まで責任を持って行います。
見えない作業に真心を込めて、お届け致します。
1950年頃
都会では街頭テレビに人が集まり、マリリンモンローが来日した頃、初代徳栄丸が誕生!
1984年頃
現在の徳栄丸船長が、2代目とともに漁を始める。一万円札が福沢諭吉に代わり、エリマキトカゲが流行っていた頃、現船長は毎日船酔いと戦ってました。
1998年頃
タイタニックの大ヒットで日本中が泣いていた頃、徳栄丸は休漁期で魚が無くて泣いていました。そこで、漁に出られない間に真牡蠣の養殖を始めました。
2007年頃
それぞれの場所で、牡蠣を販売していたお店が集まり、ビニールハウスの牡蠣小屋群が岐志に誕生します。沢尻さんが、「別に、」と言ってIKKOさんが、「どんだけ〜」と言って、小島よしおさんが「そんなの関係ねぇ〜」なんて言ってた頃です。
2014年頃
日本中で、「ありのままの〜♪」とアナと雪の女王の曲が流れていた頃、大雪にも負けない鉄骨タイプのハウスになりました。
2019年頃
令和ブームが起こる中、90%以上が牡蠣小屋で消費されている【糸島カキ】は地域団体商標登録を取得しました。地域名と、商品名からなる地域ブランドを守るために特許庁から商標登録を受けます。岐志の牡蠣小屋9棟が常設の建物にて新装開店します。
2021年からも
徳栄丸のテーマは「温故知新」。牡蠣へのこだわり、漁師の人間味はそのままに、Wi-Fi完備、キッズスペース、フォトスポットを設けるなど、変われる所は進化していきます。